おねしょ外来
おねしょ外来
お子さんの夜尿症(おねしょ)は、決して「やる気がない」「甘えている」「怠けている」ために起こるものではありません。成長の過程でみられる症状のひとつであり、多くのお子さんが経験します。
夜尿症には主に次の3つの要因が関係しています。
①夜に作られる尿が多い
通常は夜になると体の中で「尿を少なくするホルモン」が増えます。しかし、この働きが十分でないと、夜間にたくさんの尿が作られ、膀胱にためきれなくなります。
②膀胱にためられる尿の量が少ない
膀胱は風船のような役割をしています。成長とともに少しずつ大きくなりますが、お子さんによっては年齢に比べて十分な量をためられないことがあります。
③尿がたまっても目が覚めにくい
夜尿症のお子さんは、膀胱に尿がたまったことを脳がうまく「起きるサイン」として受け取れないことがあります。
本来は、
膀胱に尿がたまる
尿意を感じる
目が覚める
トイレへ行く
という流れになります。
しかし夜尿症のお子さんでは、
膀胱に尿がたまる
尿意のサインは出ている
うまく目が覚めない
寝たまま排尿してしまう
という状態が起こります。
これはお子さんの性格や努力不足ではなく、脳と膀胱の連携がまだ発達途中であるためと考えられています。
「おねしょをするのに、なぜ昼間はしっかり水分を飲んだ方がよいのですか?」と質問されることがあります。
実は、昼間の飲水や排尿の習慣は、夜尿症の改善にとても重要です。
膀胱が少しずつ膨らむことで、
を脳が学習します。
この経験を積み重ねることで、膀胱から脳へのサインがより発達していきます。
膀胱は単に尿をためる袋ではなく、脳と常に情報をやり取りしています。
昼間に十分な飲水を行い、2〜3時間ごとの定時排尿を続けることで、さまざまな段階の尿意を経験し、その感覚を脳が学習します。
この積み重ねによって、尿意を感じる力や、夜間に尿意で目が覚める力の発達につながると考えられています。
昼間にしっかり飲み、夕方以降は飲み過ぎないことで、
「昼間に尿を作り、夜は尿を減らす」
という自然なリズムが作られます。
夜尿症のお子さんには便秘がよくみられます。
直腸に便がたまると膀胱が圧迫され、尿をためるスペースが小さくなります。
十分な水分摂取は便秘改善にも役立ち、結果として夜尿症の改善につながります。
夜尿症の治療では、まず現在の状態を正しく把握することが大切です。
そのため、排尿日誌(夜尿日誌)をつけていただきます。
記録する内容としては、
などがあります。
朝起きて最初の排尿量を計測します。
起床時尿量は、夜間にどれくらい尿が作られていたかを推定するために重要な情報です。
夜間尿量が多い場合には、「多尿型」の夜尿症が疑われます。
昼間に強い尿意を感じた時点で排尿し、その尿量を測定します。
これは膀胱にどれくらい尿をためられるかを評価するための検査です。
年齢相当より少ない場合には、「膀胱容量低下型」の夜尿症が考えられます。
まず大切なのは、
という基本的な生活習慣です。
特に眠前2回排尿は、就寝直前にもう一度排尿することで膀胱内の残尿をできるだけ少なくし、夜間の尿失禁を減らす効果が期待できます。
また、夕食後から就寝前にかけての過剰な水分摂取は夜間尿量の増加につながるため、適度な制限が勧められます。目安として、夕食以降の水分摂取はコップ1杯程度までとし、それ以降どうしても喉が渇く場合は、水分をたくさん飲む代わりに氷を1個口に含むようにしてみましょう。
さらに、体が冷えると尿が増えたり膀胱が刺激されたりすることがあるため、寝るときの服装や寝具にも注意しましょう。
下着やパッドが濡れるとアラームが鳴る治療です。
これは単に起こすためではありません。
「膀胱がいっぱいになる」
「アラームが鳴る」
「目が覚める」
という経験を繰り返すことで、膀胱からのサインで自然に目が覚める力を育てる治療です。
排尿日誌や検査結果から夜尿症のタイプを評価し、それぞれに応じた治療を行います。
夜間に作られる尿が多い場合には、抗利尿ホルモン製剤(デスモプレシン)を使用することがあります。
この薬は夜間の尿量を減らし、膀胱にためきれないほどの尿が作られるのを防ぎます。
修学旅行や宿泊行事などの際にも有効なことがあります。
膀胱容量が小さい場合には、
を中心に行います。
膀胱に尿をためる経験を積みながら、適切な膀胱機能の発達を促します。
尿意を感じる力や、膀胱から脳へのサインを認識する力が十分に発達していないタイプです。
この場合は、
などを行いながら、膀胱と脳の連携の成熟を促します。
膀胱が十分に尿をためる前に勝手に収縮してしまうタイプです。
昼間に、
などを伴うことがあります。
この場合には、
に加えて、必要に応じて膀胱の過剰な収縮を抑える抗コリン薬やβ3作動薬などを使用することがあります。
夜尿症はお子さん自身が一番困っていることが少なくありません。
ことがとても大切です。
夜尿症は成長とともに改善することが多く、適切な生活習慣や治療によってさらに改善が期待できます。
私たちは、お子さんの成長を支えながら、一緒に夜尿症の改善を目指していきます。不安なことや困ったことがあれば、いつでもご相談ください。
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